イトーキのオフィスチェア「スピーナチェア」
イトーキ渾身のチェア。他の椅子にはない特徴があり、熱烈なファンがいる。
スピーナチェアの機能と特徴
- 座ると座面が沈み込むPassive Slide Seat。
- 背面のランバー部分が前にせり出すActive Lumber Support。
- アンクルムーブシンクロロッキング
- ランバーストローク調節
- エラストマーバック(エラストマー樹脂による縦リブ形状の背面)
個性的な座り心地
この椅子には仕事先で座る機会が何度もあった。
座ったときの印象は、「でかい椅子」「正しい姿勢を強制してくれる」というもの。座面も背面もでかい。そして、長い時間座っていても疲れない。
私の感触としてはホールド感がそれほどない。メッシュ素材の高級チェアに座ると、背もたれに体を預けたときに、背中全体を包み込んでくれるようなホールド感がある。しかし、この機種にはそれがない。
このチェアは、包み込むホールド感がない代わりに、全身を大地に預けたような安心感がある。不思議な感覚だ。
その理由は、背面のエラストマーバック構造にある。ゴムとプラスチックの中間のような質感の背面が、細長い突起(リブ形状)になっている。不思議なことに、体にぴったり吸い付いてくる感覚がある。
これによって、草原に横たわっているような不思議な安心感が得られるのだ。リブ形状だから通気性が良い。それでいて素材がメッシュよりも硬いので、しっかりと背中を支える。
硬い素材のメッシュ形状は、アーロンチェアやパルスをはじめ多数ある。通気性と強度を両立したチェアだ。
しかし、細長い形状(リブ形状)は私の知るかぎり、スピーナチェアだけ。質感もメッシュよりも硬いが、アーロンやパルスのプラスチック感よりは柔らかい。実に不思議な感触だ。
こればかりは、実際に座ってみないとわからない。どれほど言葉を尽くしても意味がないかもしれない。
スピーナチェアの感覚が好きな人にとっては、座っていることを感じさせない「最高の椅子」なのだろう。
「オフィスチェアの座り心地はどれも似たようなもの」という感想を持っている人がたまにいる。そんな人でも、スピーナチェアについては「他とは違う座り心地」と認めるはずだ。
人を選ぶ椅子は、選ばれた人にとって最高
余計なことかも知れないが、スピーナチェアで開発した数々の特徴(Passive Slide Seat、Active Lumber Support、エラストマーバック)が、イトーキの新発売チェアに引き継がれていないことが気になる。
本当に評判がよければ、同じような機能をもった後傾機種が続々と出てきても良さそうなのだが。
おそらく、スピーナチェアは万人受けする機種ではないのだろう。熱烈なファンがいる一方で、さほど評価しない人も多い。そんな高級チェアである。
そういった個性的なチェアが存在することは、オフィスチェアファンとしてうれしい。イトーキのチャレンジ姿勢には拍手を送りたい。
※追記:スピーナチェアの数々の機能は、一部機種に引き継がれていたことが判明。申し訳ない。
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